月の窓から

Late, by myself, in the boat of myself

光あつめ

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久しぶりに山へ行き、なんてことはない小さな流れに向かって、シャッターを切る。絞りを開放し、シャッタースピードと感度を変え、何十回とシャッターを切る。
光が点になり、線になる。初めてということでもないのに、そのことにはっと驚き、シャッターを切り続ける。
光と言葉を交わし、世界の秘密に近づいたような気がして、帰って数日たってもそのことを心の片隅で弄ぶ。

私はどんな風にひとみを開いているか?
私の見つめるすべては、点になり、線になる。

パソコンに向かい、写真を現像をする時間は、心の真実に近づく作業のようでとても大切だ。
商品になるものを目指しているわけでも、記録のためでもない。
取れ高は、ほとんどない。


 

まなざしは私だけの光。
見つめている。感じている。照らしている。
味もなく、形もない。そのままでは分かち合うことのできないもの。
まなざしは私。まなざしの中に私がいる。そうして景色が私になる。

 

見つめている。感じている。私の光は届かない。愛は伝わらない。声の大きい誰かに踏みにじられる。それは悲しいこと。

 

それはとても悲しいこと。

 


 

深い官能はいつもピントが合わなくて言葉にもならず、出口を失った叫びのように身体の中にある。
多分、私のレンズは明るすぎて、画面が真っ白になってしまうのだろう。

自分の瞳の操作を覚えなおすように、時間をかけて素振りをする。写真を撮り、言葉を探す。
そうしている間に、命は流れ去ってしまうだろうか。
触れられないひとを、とうめいな腕で抱きしめられたなら。

7月は、伝える力を磨く一ヶ月になる。