2018-06-10 梅雨と花 雨のささやきは弱く発光するように、私のすぐそばにいる。 さようならの言葉も届かないくらい、遠く離れてしまった。 外へ出ると、勿忘草が今年の花を終えるところだった。 ビニール傘に大きな雫が流れる。 「笑っていた私のことを覚えていて」 不意にそうこぼれた。 雨はそばにいる。顔を上げると、紫陽花が玉飾りのように咲いていた。